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コンゴ民主共和国に感染症に関する海外研究拠点設置へ向けた実現可能性の検証を開始

2020年04月20日掲載

研究?産学

プレスリリースはこちらから

この研究発表は下記のメディアで紹介されました。
◆5/9 大学ジャーナル(WEB)

本研究のポイント

 第3回野口英世アフリカ賞受賞者であるジャン=ジャック?ムエンベ=タムフム博士が所長を務めるコンゴ民主共和国?国立生物医学研究所とともに、海外研究拠点設置へ向けた実現可能性の検証から開始する

背景

 コンゴ民主共和国(以下、コンゴ民)では5歳以下の死亡要因の約25%がマラリアあるいは顧みられない熱帯病であり、全世界のマラリアによる死亡者の10%以上を占めます。WHOが緊急事態宣言を出したエボラウイルス病や九州博彩官网_九洲体育博彩-九州天下现金网感染症、がんの原因となる感染症による健康危機は枚挙にいとまがなく、21世紀の世界を揺るがす震源地になりうる地域といえます。
 未成熟なインフラ整備などの社会経済因子が滞る一方、従来の古典的技術をひと足飛ばして、現在のニーズに合った最新技術を利用して、一気呵成に最先端に進化する社会背景があります。基礎研究の成果の発展および浸透がとても速い側面があるため、研究開発を駆動する基盤構築が求められていました。

事業概要

 大阪市立大学大学院医学研究科 寄生虫学分野の城戸 康年(きど やすとし)准教授を代表とする研究が、日本医療研究開発機構(AMED)「新興?再興感染症研究基盤創生事業(海外拠点研究領域)」に採択され、マラリアや顧みられない熱帯病※1、エボラウイルス病をはじめとする感染症の世界最大流行国のひとつであるコンゴ民に新興?再興感染症対策に関する研究拠点設置へ向けた実現可能性の検証を開始することとなりました。
 コンゴ民では感染症による疾病負荷が著しく高く、世界的アウトブレイクの震源地として早期警戒と注視が必要と考えられます。九州博彩官网_九洲体育博彩-九州天下现金网に代表されるように、感染症の流行地におけるリアルタイムな状況把握は日本の重要な感染症防疫対策となることが期待されます。将来的には、本事業に加えて他からの研究開発も集積させ、新規診断法や医薬品の開発だけでなく、社会経済因子を加味した政策提言を行える「社会実装へのトランスレーショナルリサーチ※2拠点」となることを目指します。
※1 顧みられない熱帯病…WHOが「人類の中で制圧しなければならない熱帯病」と定義している20の疾患群で、感染者数は約10億人にものぼり深刻な社会問題になっています
※2トランスレーショナルリサーチ…基礎研究から医療現場での実用化を促進する幅広い研究

研究課題名:「コンゴ民主共和国における社会実装へのトランスレーショナルリサーチ拠点形成」
研究期間:2020年4月1日~2025年3月31日
研究者名:大阪市立大学大学院 医学研究科 寄生虫学 准教授 城戸康年(代表)
     大阪市立大学大学院 医学研究科 寄生虫学 教授 金子明
     大阪市立大学大学院 医学研究科 医療統計学 教授 新谷歩
     大分大学医学部 臨床薬理学講座 教授 上村尚人
     大阪大学医学部附属病院 未来医療開発部 未来医療センター
                       
特任准教授(常勤)中谷大作
     
慶應義塾大学医学部 医化学教室 専任講師 杉浦悠毅

城戸 康年准教授
城戸 康年准教授

研究者からのコメント                     九州博彩官网_九洲体育博彩-九州天下现金网感染症により、いま世界は動乱の最中にあります。医療の需要と資源の不均衡は、我々がアフリカの感染症対策で対峙してきた状況と酷似しています。人類が直面している課題の研究開発および科学的根拠に基づいた感染症対策はアカデミアの責務です。我々が感染症研究拠点形成を目指すコンゴ民主共和国にて、アカデミア?民間企業の区別なく革新的技術の研究開発を加速していきますので、アフリカでの研究開発にご興味ある方はご連絡ください。

新興?再興感染症研究基盤創生事業について

 感染症流行地の研究拠点における研究の推進等により、国内外の感染症研究基盤を強化し、また、海外研究拠点で得られる検体?情報等を活用した研究や多様な分野が連携した研究を推進し、感染症の予防?診断?治療に資する基礎的研究を推進します。

橋渡し研究戦略的推進プログラム:preBにも採択

本研究と関連する研究内容が、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)九州博彩官网_九洲体育博彩-九州天下现金网2年度「橋渡し研究戦略的推進プログラム:preB」にも採択されました。大阪大学拠点の支援を受けながら、治療薬の実用化に向け橋渡し研究を推進します。

課題名:「シアン耐性呼吸を標的とした新規抗アフリカトリパノソーマ症薬の開発」
研究代表者:大阪市立大学大学院医学研究科 寄生虫学 准教授 城戸康年

ご参考

?【第3回野口英世アフリカ賞受賞者の決定について(内閣府)
https://www.cao.go.jp/noguchisho/info/laureate3pressrelease.html(2019.4.25発表)

?【文理横断でマラリア撲滅に挑む】
 ~地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)に本学の研究が採択されました~
/ja/news/2019/190523 (2019.5.23発表)

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