【開催報告】第216回 市民医学講座
大阪市立大学医学部では、あべのメディックス6階の医学情報センター?ホールにおいて、平成8年3月から、病気と医療について分かりやすく解説し、治療と予防についての知識を深めていただくため、市民医学講座を開催しています。
平成29年10月17日は、飲み薬で治るウイルス肝炎 ―肝機能検査値の改善から原因治療へ― と題し、医学研究科肝胆膵病態内科学 田守昭博病院教授が講義を行いました。
肝炎とは、肝細胞に炎症が起こり、その細胞が壊される病態です。原因は、アルコール過剰摂取、薬、健康食品、ウイルス感染、体重増加、過剰な免疫反応、ホルモンバランス異常、脱水などたくさんあります。
検診での肝機能検査値が悪いかどうかは、重要な指標ですが、この数値が正常でもB型肝炎ウイルス(HBV)とC型肝炎ウイルス(HCV)による慢性疾患が隠れていることがあり、肝硬変の65%、肝がんの90%の原因になっています。
たとえ、ウイルスに感染していても、最近の治療は目覚ましく進歩しており、医療機関で適切な治療を受けることで、肝炎ウイルスを排除し、肝がんや肝硬変の進展を阻止(制御および完治)できること、そして、高額な抗ウイルス剤についても、B型?C型肝疾患に対する医療費助成制度があり軽減されることなど、医学?医療の研究結果の最新情報をお伝えしました。また、大病になる前の早期発見のためにも、肝炎ウイルス検査を一生に一度は受けることを提案いたしました。
ご参加いただきました皆さま、熱心にご受講いただきありがとうございました。
講義の様子
質疑応答の様子
平成29年度は、「現代人と病気」というテーマのもとに、本学医学研究科の教員の協力を得て、「知っておきたいロコモティブシンドローム ―要介護になる危険因子をご存じですか?― 」をはじめ現在6講座を開講し、681名の方が受講されています。
受講者の方から「この講座は、肝臓や脳をはじめ色々な講義していて、高齢者の私にとって、大変勉強になるので何度も受講しています。」という声をいただきました。
私たちの健康と福祉をとりまく社会環境は、高齢人口の急速な増加、生活様式の変化や社会の複雑化などで大きく変化し、医学?医療技術の目覚ましい進歩や医療需要の増大と多様化が進んできました。今後も、皆様の信頼と期待に応えられるよう充実した内容の講座の提供を目指してまいります。